忍者ブログ
気の向くままに更新し、好き勝手にイラストや小説を載せます。時々写真など掲載。 他にも文庫の感想や小言まで多彩なジャンルを載せる予定なのだ。 これが俺のポリシー。御宅の魂を思う存分見やがれってんだッ!
Admin・:*:・Write・:*:・Comment
[1]  [2]  [3]  [4]  [5
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

プルルルルル…
電話が鳴りやまない
暗闇の中彼女は寝巻きのまま、寝室から少し離れた玄関に置いてある電話の受話器をとった
「もしもし」
電話の主は淡々と業務的にそれを口にした
「え…、もう一度お願いできますか」
自分の耳が信じられなくて何回も聞き直した
そのたびに相手は同じ事を繰り返した
感情の篭ってないその言葉で
『ご家族が先ほど事故に逢い亡くなりました。身元の確認をして頂けますか』
彼女の目の前が真っ暗になった

これは先ほど見ていた夢の延長なのだろうか
だとしたらどんなに楽なのだろうか

目が覚めたら朝で自分はベッドの上
下の階から母親の作る朝食のいい匂いが立ち込めて、その匂いにつられるまま眠り眼でたどる
そこには笑顔で彼女を迎える弟と、仏頂面で新聞を眺める父親
何気ない家族の風景で、これが彼女の朝
それが一本の電話で何もかも崩れ去った
最後に見た家族の顔が次々に浮かんでは、彼女に必死に訴えてくる
『助けて』『痛いよ』
それが幻想で空耳だったとしても
残されたものに与えられた、永遠に消えない呪いだった

彼女の受話器を持つ手が力を無くし、だらりと垂れ下がった

「題名と本文って全く関係なくない?」
「家族設定が決まってないのが苦」



PR
外が騒がしくなった
目の前に下がるカーテンが赤く点滅している
赤く、白く、そして赤く
順に変わるそれは、覚めて間もない瞳には明るすぎた
ベットから上半身だけを起こし、
そっとカーテンを捲ると光が目に飛び込んできた
「うぅ…」
彼は低くうめき声をあげると、目を細め下を覗き込んだ

点滅の正体は車の天井についていた
見慣れた車だった
「パトカー?」
「うぅん…あなた?今、何時?」
隣で寝息をたてていた彼女が目を覚ましてしまったようだ
まだ眠たそうな瞼を細く開いて、
焦点の合わない瞳をキョロキョロと動かす
「すぐそこで事故があったらしい」
「事故?」
彼は彼女に軽く頷くと、ベッドの脇に立ちあがり床に散乱していた上着を着る
「なに、あなた。もういっちゃうの?」
彼女も上半身だけ起き上がり、
ぼさぼさの長い髪に指を通してそう言った
「あぁ。また寄るよ」
彼はそう言うと、背広の上のボタンをかけた
長時間くしゃくしゃのまま置いてあったためか、ズボンやワイシャツに皺ができていた
「約束よ」
彼女の言葉に彼は視線を彼女に向けた
布団から覗く彼女の白い肌を窓から入る赤いライトが照らしている
いつもの彼女よりも数段と艶めかしい姿に彼は息を呑んだ
「後で連絡する」
彼はそう言うと小走りで玄関の靴を履いて外に出ていった
残されたのは彼女一人
「いつも連絡くれないくせに」
彼女は今度は頭から布団の中に潜り、そう呟いた

室内は窓から入るパトカーのライトで様々な色を映している
外は段々騒がしくなってくる
サイレンの音を聞きつけた住民や、事故の音を聞いて驚いて起きた人々が集まりはじめたのだ
そしてその人ごみの中に今まで事故現場の一番近くのマンションに寝ていた彼もいた
野次馬の群れを掻き分け、
最前列で彼は懐から手帳を出した
「埼玉県警の山崎徹巡査です」
その一言で彼の前のテープは切られた

桜の花びらが彼の訪問を迎えるようにそっと彼の目の前に落ちた

「結局趣味にはしって、警察登場」笑。
「これからたいへんそうだぞ」
2006年4月
そこは静かな田畑が広がる田舎町だった
日はすでに沈んでおり、
街灯のない暗闇の道を一台の車が走ってゆく
今の時代には珍しく、
人の手が一切入っていない雑草の生えた砂利道を、
ヘッドライトで照らしながら進んでゆく
スピードも運転も申し分ない

車が一本の木の下に差し掛かった
その木は堂々として大きな幹だった
小さな花が敷き詰まったように咲いていて、
その花の重さに持ちこたえられられなかったように垂れ下がった、
満開の枝垂桜だった
少し離れた街灯の弱々しい光を吸収しているように輝き、
社交界の貴婦人のように美しかった

運転手は息を呑んだ

その瞬間
大きな破裂音が辺りに響いた

車は不思議なことに頭から木の幹にめりこんでいた
まるで桜に引き寄せられたように
まるで自らの体を桜に差し出したように

即死だった
車に乗っていた人間全ての灯火が瞬間に消えていた

美しき輝きを持つ桜は聖母のように
彼等を胸に抱きしめたままその場にずっと佇んでいた

不吉な破裂音を聞きつけた、
警察がその場に駆けつけるまで、ずっと…そのまま…

「なにやら続くらしい」
「桜をテーマってこんな感じ?」




前のページHOME
カレンダー
04 2024/05 06
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
舘岡助三郎
性別:
非公開
職業:
子供向けのなんか。
自己紹介:
精神年齢は10歳半。
正義のヒーローに憧れるまま、心はいまも幼少時代。

そんな俺が書き出した日記。
今後どう展開するのか気にならへん?
カウンター
フリーエリア
最新コメント
(03/23)
(03/21)
(12/16)
(12/14)
(12/09)
ブログ内検索
バーコード
Copyright©御宅堂入門。 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog
Graphics by 中華素材*ASIAN SOZAI
Template by わらみ~
忍者ブログ [PR]